結論
★問題の本質: 子どもは「整理できない」のではなく、整理する「環境」と「タイミング」が設計されていない
★今日できること: 帰宅後の動線上に「プリント置き場」を1つ設置する
★得られる変化: 3週間で、子ども自身が「出す→仕分ける」を自動化できるようになる
毎日ランドセルを開けるたび、折れ曲がったプリント、提出期限を過ぎた書類、どこかへ消えた連絡帳。
「ちゃんと整理しなさい」と何度言っても変わらない。
でも、これは子どもの「やる気」や「性格」の問題ではありません。
整理整頓は「行動の連鎖」であり、その連鎖が途切れる場所に、見えない摩擦が存在しているのです。
行動が止まる場所には、必ず「摩擦」がある
行動科学の視点で見ると、人は以下の条件が揃わないと行動を起こしません。
- きっかけが明確である
- 次のステップが見えている
- 行動コストが低い
ランドセルの整理で言えば、こんな摩擦が潜んでいます。
- プリントを出すタイミングが決まっていない(きっかけ不在)
- どこに何を入れるかのルールが曖昧(判断コスト高)
- ファイルやボックスが手の届かない場所にある(物理的障壁)
- 「整理された状態」のゴールイメージがない(目標不明瞭)
つまり、子どもにとって整理整頓は「難易度の高い連続行動」なのです。
この摩擦を下げるには、環境の再設計が必要になります。

環境デザインチェックリスト
整理行動が自然に起きる環境には、以下の要素が揃っています。
動線設計
- 帰宅後すぐ通る場所にランドセル置き場がある
- プリント提出先が視界に入る位置にある
- 3歩以内に全ての収納先がある
仕分けコスト削減
- 色別ファイル(判断不要)
- ラベル・写真での可視化
- 「迷ったらここ」のボックスを用意
物理的アクセス
- 子どもの目線・手の高さに全て配置
- ファスナーやボタンなし(ワンアクション収納)
- ランドセルを開けたまま作業できる広さ
感覚配慮
- 散らかった状態が視界に入り続けない工夫
- 作業中の音・光の刺激を調整
- 立ったまま・座ったまま、子どもが選べる設計
仕組み化テンプレート
どんな家庭でも応用できる、整理整頓の基本設計です。
固定ルーティン化
- トリガー: 帰宅→靴を脱ぐ→ランドセルを開ける
- 時間固定: 17時のタイマーで「整理タイム」
- 場所固定: リビング入口の専用スペース
可視化ツール
- 週間カレンダー(整理できた日にシール)
- ビフォー・アフター写真の掲示
- 「次やること」カードの常設
家族内ロール分担
- 子ども:ファイルから出す、指定場所に置く
- 保護者:週1回の在庫確認、不要プリント処分
- きょうだい:見守り役、タイマー係(年齢に応じて)
よくある失敗→改善ポイント
NG: ランドセルを子ども部屋に置かせる
→ OK: 動線上(玄関・リビング入口)に配置
理由:部屋まで持っていく工程が追加摩擦になる。帰宅直後の「開ける」を最優先。
NG: 「大事なプリント」「普通のプリント」で分類
→ OK: 色と行き先で分類(赤=親へ、青=宿題、黄=保管)
理由:判断基準が抽象的だと、毎回迷いが発生する。
NG: 完璧に整理できるまで次に進まない
→ OK: 「出す」だけできたら合格ラインに設定
理由:ハードルが高すぎると行動そのものが止まる。
NG: 週末にまとめて整理
→ OK: 毎日5分×週末10分のリセット
理由:溜まった状態は認知負荷が高く、着手できなくなる。
個々の特性による設定値調整
子どもによって「どこに摩擦を感じるか」は違います。
疲れやすい・体力が少ない子
- 立ったまま作業できる高さに設定
- ランドセルを下ろす→開ける、を2日に分けてもOK
- 軽量クリアファイルを使用
視覚情報に敏感な子
- ファイルは半透明より無地
- 整理中、他の物が視界に入らないパーテーション配置
- ラベルは最小限の情報だけ
こだわりが強い子
- 本人に配置を選ばせる
- ファイルの順番・色を固定化
- 「変更してもいい」の選択肢を常に残す
時間感覚が掴みにくい子
- タイマーの「音」より「色の変化」で知らせる
- ビジュアルタイマー(残り時間が見える)使用
- 「何時」ではなく「夕飯の前」など行動連動で設定
5分スターター|今日から始める最小ステップ
今日できることを、負担の少ない順に並べました。
- 帰宅後の動線を確認する
玄関→リビングまでの道に、ランドセルを置ける場所があるかチェック - 色別ファイルを3色用意する
100円ショップで赤・青・黄のクリアファイルを購入 - 「プリントBOX」を1つ設置
帰宅後すぐ目に入る場所に、空き箱でもOK - 子どもと一緒に「置き場所」を決める
「ここがいいと思う?」と選ばせることで、主体性が生まれる - 週1回の「整理タイム」をカレンダーに書く
金曜17時、など固定化してルーティンに組み込む
まとめ|整理整頓は「環境」が9割
整理整頓ができないのは、子どものせいではありません。
行動を止める摩擦が、環境の中に隠れているだけです。
「どこに」「いつ」「何を」が明確になれば、子どもは驚くほど自然に整理できるようになります。
必要なのは、声かけの工夫ではなく、環境の再設計です。
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