結論
★こだわりは「予測できない不安」からの防衛本能。声かけより先に環境を整える
★今日できること:こだわりが発動する”前後5分”の動線を観察してメモする
★得られる変化:親子の衝突が減り、本人が自分で次の行動に移れる時間が増える
なぜ「こだわり」で動けなくなるのか | 行動科学の視点
ASDの子どもは、脳の情報処理の特性上、予測できない状況に強い負荷がかかります。
いつもと違う道順、着替えの順序、食器の配置。こうした「微細な変化」でも、脳は大量のエネルギーを使って再計算を始めます。
その結果として生まれるのが、一見すると頑固に見える「こだわり行動」です。
これは、わがままではなく、脳が安全を確保するために選んだ合理的な戦略。
つまり、声かけで説得するよりも先に、環境側の予測可能性を上げることで、こだわりに伴う摩擦を大幅に減らすことができるのです。

環境デザインのチェックリスト
こだわりが強く出る場面で、以下の項目を見直してみましょう。
物理環境
- いつも使うものは定位置に固定されているか
- 色・形・配置が毎回同じになっているか
- 余計な刺激(光・音・視覚情報)が入り込んでいないか
前後の動線
- 行動の”次”が見えているか(視覚的に予告されているか)
- 移行に必要な時間的余裕はあるか
- 前の活動が完了したと本人が認識できる区切りがあるか
感覚刺激の設計
- 触れるもの・着るものの質感は安定しているか
- 音や匂いの変化が予測範囲内に収まっているか
- 本人にとって”心地よい”感覚要素が用意されているか
仕組み化テンプレート
固定ルーティン(パターン化)
- 時間帯ごとに「いつもの流れ」を決める
- 「朝は玄関→リビング→トイレ」など、順序を固定する
- 曜日で変える場合も、曜日ごとのパターンは統一する
可視化ツール(見える化)
- タイマーで時間の終わりを予告
- 写真カードで次の場所・活動を提示
- ホワイトボードに今日のスケジュールを書き出す
家庭内ロール分担
- 「お母さんが準備、お父さんが声かけ」など役割を明確化
- 誰がどこまで関わるかを決めておく
- 大人同士で対応をぶらつかせない
よくある失敗 → 改善ポイント
| NG | OK |
|---|---|
| 毎回違う順序で朝の支度をさせる | 朝の動線を固定し、視覚で確認できるようにする |
| 突然予定を変更して「今日は別ルートね」と伝える | 前日に写真で新しいルートを見せ、選択肢として提示 |
| 「こだわりをやめさせよう」と制止する | こだわりが満たされる別の手段を環境に組み込む |
| 本人の反応を見ずに急かす | 移行に必要な時間を逆算してスケジュールに組む |
個々の特性による”設定値”調整
こだわりの背景には、感覚特性・疲労度・情報処理速度など、個別の”パラメータ”があります。
感覚過敏がある場合
- 音や光の刺激を減らす(カーテン・耳栓・間接照明)
- いつもと同じ触感のものを複数用意しておく
疲れやすい場合
- 朝と夕方で求められる柔軟性を変える
- 疲れているときは、より強固なルーティンで安心を確保
こだわりが強い場合
- 完全に同じ環境を複数パターン用意(A案・B案)
- 選択肢の中で「どちらも正解」という設計にする
情報処理に時間がかかる場合
- 一度に伝える情報を1つに絞る
- 視覚情報と音声情報を併用して、予測可能性を高める
5分スターター | 今日からできる最小の一歩
- こだわりが出る場面を1つ選んで、前後5分の流れをメモする
- その場面で使う物の「定位置」を決めて、写真を撮る
- 明日の予定を、夜寝る前に写真で一緒に確認する
- 一番摩擦の大きい場面に、タイマーを1つ導入してみる
- 家族で「誰がどこまで対応するか」を1行だけ決める
まとめ
こだわりは、環境の予測可能性が低いときに強まります。
声かけや説得よりも先に、環境側の設計を見直すことで、親子双方の負担を大きく減らすことができます。
小さな仕組みを1つずつ積み重ねることで、こだわりが”安心の手がかり”として機能し、本人が自分で動ける時間が確実に増えていきます。
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一緒に、こだわりを”その子らしさ”として活かせる環境をつくっていきましょう。

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