アサーティブコミュニケーションとは?支援現場で”伝わる仕組み”をつくる3つの視点

目次

結論

問題の本質:
「言いたいことが伝わらない」のは、言葉選びの問題ではなく、伝える”環境”と”タイミング”が整っていないから。

今日できる最小アクション:
「話す前の準備」を1つだけ変える。相手の状態を観察し、落ち着いた場所で、短く伝える。

得られる変化のイメージ:
子どもも大人も、安心して自分の気持ちを出せる。対立ではなく、対話が生まれる関係性へ。

アサーティブコミュニケーションとは?

アサーティブコミュニケーションとは、自分も相手も大切にしながら、率直に気持ちや考えを伝える方法です。

よく誤解されるのが「言い方を変えればうまくいく」という考え方。でも実際は、伝える前の”場の設計” が9割です。

例えるなら、種を蒔く前に土を耕すようなもの。どんなに良い種(言葉)でも、固い土(緊張した場)では芽は出ません。

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なぜ「伝わらない」のか?行動科学の視点

人の脳は、不安・疲労・刺激過多の状態では、言葉を受け取る余裕を失います

特に子どもは、以下の状態だと「聞く準備」ができていません:

  • 別の活動に夢中(遊び・動画・工作中)
  • 疲れている、お腹が空いている
  • 周囲がうるさい、視覚刺激が多い
  • 直前に叱られた、失敗した

これは「聞く気がない」のではなく、脳の処理容量が限界を超えている状態。

つまり、”何を言うか”より先に、“伝わる状態”をつくる環境設計が必要なのです。


環境デザイン:伝わる場をつくるチェックリスト

アサーティブに伝えるには、まず「伝わる環境」を整えます。

物理的環境

  • 静かな場所、または落ち着けるスペース
  • 視線の高さを合わせる(しゃがむ、座る)
  • 余計な刺激を減らす(テレビを消す、物を片付ける)

タイミング設計

  • 活動の合間(切り替えの直前・直後は避ける)
  • 食事・睡眠が整っている時間帯
  • 予告してから話す(「5分後に話したいことがある」)

心理的安全性

  • 否定や叱責の直後は避ける
  • 「怒っていない」ことを表情・態度で示す
  • 一方的ではなく、双方向の確認を入れる

仕組み化テンプレート

どんな場面でも応用できる、伝え方の”型”です。

固定ルーティン

  • いつ伝えるかを決める(例:夕食後、寝る前の10分)
  • 場所も固定する(リビングのソファ、子ども部屋の床など)
  • 「話す時間」を習慣化すると、準備なく受け取れる

可視化ツール

  • タイマーで「あと○分で話すよ」を視覚化
  • 話す内容を絵カードや写真で事前に見せる
  • 選択肢を紙に書いて、指差しで選んでもらう

家庭内ロール分担

  • 「伝える人」を固定する(混乱を避けるため)
  • 「聞き役」と「記録役」を分ける(支援者同士の連携)
  • 子どもが選べる相手を複数用意する

よくある失敗 → 改善ポイント

NG:忙しい時に立ち話で伝える

改善:
「後で座って話そう」と予告し、落ち着いた場所で改めて時間を取る。

NG:長々と説明する

改善:
伝えたいことを1文に絞る。詳細は聞かれてから追加する。

NG:相手の反応を待たずに次の話題へ

改善:
「今の話、どう思った?」と確認する時間を設ける。沈黙も大切な反応。

NG:感情的になっている時に伝える

改善:
深呼吸を3回してから話す。または「今は冷静じゃないから、少し待ってほしい」と正直に伝える。


個々の特性による”設定値”調整

子どもの特性に応じて、環境パラメータを調整します。

感覚過敏がある場合

  • 音量・照明・距離を調整
  • 筆談や絵での伝達も選択肢に
  • 触れる・触れないの境界を事前確認

疲れやすさがある場合

  • 伝える時間を5分以内に設定
  • 朝よりも、午後の落ち着いた時間帯を選ぶ
  • 座る・横になるなど、楽な姿勢で話す

こだわりが強い場合

  • 「いつもの場所」「いつもの時間」を守る
  • 急な話題変更は避け、事前に予告する
  • 話す順番をパターン化する

5分スターター:今日からできる最小の一歩

  1. 次に話す前に、深呼吸を3回する
    自分が落ち着くことで、相手も安心します。
  2. 「今、話していい?」と一言聞く
    相手の準備状態を確認するだけで、受け取り方が変わります。
  3. 伝えたいことを1文にまとめてメモする
    話しながら考えるのをやめ、シンプルに。
  4. タイマーを5分セットして「この時間だけ話そう」と提案する
    時間の見通しがあると、双方が集中できます。
  5. 「ありがとう、聞いてくれて」で終わる
    伝わったかどうかより、まず聞いてくれたことを認める。

まとめ:アサーティブは”技術”ではなく”設計”

アサーティブコミュニケーションは、言葉選びのスキルではありません。

伝わる環境をつくり、伝わるタイミングを見極め、伝わる仕組みを整える——それが本質です。

特に支援現場では、子どもも支援者も、日々多くの刺激と疲労にさらされています。だからこそ、「どう言うか」の前に、「どう整えるか」を大切にしてください。

小さな環境調整が、対話の質を大きく変えます。



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この記事を書いた人

こんにちは、ゆうたまと申します。
長野県出身で、現在は放課後等デイサービスの児童発達支援管理責任者・管理者として、子どもたちの支援に携わっています。
また、週に一度は幼児向け運動教室を主宰し、発達に合わせた運動あそびを通して「できた!」「楽しい!」を引き出す活動をしています。

ブログでは、
「子どもへの関わり方」「運動あそびの工夫」「支援のアイデア」など、
保育士さんや放デイ職員、保護者の方に役立つ実践的な内容を中心に発信しています。

資格は、保育士・幼稚園教諭Ⅱ種・NESTAキッズコーディネーショントレーナー・かけっこアドバイザー・児童発達支援管理責任者など。
専門的な知識だけでなく、日々の現場で感じた気づきを丁寧に言葉にすることを大切にしています。

noteメンバーシップでは、支援にすぐ活かせる「支援アイデア」を限定配信中です。
“現場で迷ったときに少しでも力になれる場所”を目指しています。

趣味は散歩とディズニー巡り、好きな食べ物はスイーツとラーメン。
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